コラム

2021.04.14

更年期とエストロゲン

女性のライフサイクルのうち、閉経をはさんだ前後5年間(約10年間)を更年期といいます。50歳過ぎに閉経する方が多いことから、4555歳くらいの時期が更年期にあたります。

更年期に入ると卵巣の働きが徐々に衰えるため、卵巣から分泌される女性ホルモンの1つであるエストロゲンが低下します。それにより月経異常をはじめ、さまざまな体調不良を起こすことが知られています。

更年期症状には、ホットフラッシュと呼ばれる発汗・ほてり・のぼせといった症状や、肩こり、頭痛、めまい、イライラ、疲労感、抑うつ、不眠、関節痛など多彩な症状があります。

エストロゲンは骨の維持やコレステロールなどの脂質の状態を良くする働きがあるため、閉経後の女性では骨粗鬆症による骨折や、悪玉コレステロールの増加による動脈硬化の危険度が増加します。

また、エストロゲンによる心血管系に対する保護作用が、男性と比べて閉経前の女性に心臓病が少ない一因と考えられています。更年期の女性に多い微小血管狭心症の発症には、エストロゲンの低下が関与しているとされています。

 

<大豆イソフラボンとエクオール>

大豆は日本人にとって馴染み深い食材であり、豆腐、納豆、煮豆、味噌、醤油など大豆に関連する食品は多数あります。大豆とくに大豆胚芽には大豆イソフラボンが多く含まれています。

大豆イソフラボンのうち、ダイジンという物質が腸内細菌の働きでダイゼイン、さらにエクオールへと代謝されます。このエクオールは女性ホルモンであるエストロゲンに似た化学構造を持っており、エストロゲン様の作用を示すことが分かっています。エクオールの活性はエストロゲンの1000分の1100分の1と報告されています。

健康効果を期待するには、毎日10mgのエクオール摂取が目安とされています。エクオール10mgを生み出すためには大豆イソフラボン50mgの摂取が必要です。これは、大豆食品でいうと豆腐2/3丁(200g)、納豆1パック(50g)、豆乳一杯(200g)に相当します。

しかし、体内でのエクオールの産生能は個人差が大きいと言われており、日本人の約50%は大豆イソフラボンを摂取しても体内でエクオールを産生できないという報告があります。

 

<エクオールを含有するサプリメント>

更年期症状に対する専門的な治療は、減少したエストロゲンを補うホルモン補充療法(HRT)が行える婦人科への受診が基本です。しかし、ホルモン補充療法を行うほどひどくはない、もしくはホルモン補充療法を行うことに抵抗感があるという方も多くいらっしゃいます。

そのような方を対象に、当院では、更年期障害に保険適用のあるメルスモンというプラセンタ注射剤や、加味逍遙散などの漢方薬の処方で更年期症状に対応しています。加えて、エクオールを含有する「エクエル®」というサプリメントを取り扱っています。「エクエル®」は大豆を乳酸菌(ラクトコッカス20-92)で発酵させて作られており、ホットフラッシュや肩こり、手指の不調いった更年期の症状に対する効果が報告されています。(エクエル®は医薬品ではなくサプリメントです)

エクエル

120錠(14錠・30日分)¥4100(税込)

更年期ラボ