予防接種

予防接種とは

予防接種のワクチンは、感染症の原因になる細菌やウイルスの病原性を弱める、あるいは無毒化して作られています。こうしたワクチンが体内に入ると抗体が作られます。抗体は病原体を見つけて結合し、身体から除去する働きを持ったたんぱく分子です。この抗体があると、その病原体が再び身体に入ってきても感染しにくくなり、感染した場合にも重症化を防ぎます。

感染症リスクを下げるためにワクチン接種を

ワクチン接種当院ではインフルエンザや肺炎球菌のワクチンなど多種類の予防接種に対応しています。ワクチンの在庫が切れている場合もございますので、原則的にお電話でのご予約をお願いしております。ワクチンのお取り寄せに2日程度いただくことがございます。
インフルエンザワクチンの接種は毎年10月にスタートします。肺炎球菌ワクチンは、いつでもお受けいただけます。

当院での予防接種について

当院ではインフルエンザや肺炎球菌のワクチンなど多種類の予防接種に対応しています。ワクチンの在庫が切れている場合もございますので、原則的にお電話でのご予約をお願いしております。ワクチンのお取り寄せに2日程度いただくことがございます。

接種できるワクチン

予防接種を受けられる際は問診票の記載が必要になります。
事前にダウンロード(プリントアウト)していただき、ご記入いただいたものをご持参いただくとスムーズなご案内が可能です。

予防接種費用

種類 価格
水痘(みずぼうそう) 6,000円
おたふく 5,000円
MR(麻疹+風疹) 7,000円
肺炎球菌ニューモバックス 6,000円
肺炎球菌プレベナー 9,000円
髄膜炎(メナクトラ) 21,500円
日本脳炎 5,500円
A型肝炎 6,000円
B型肝炎 5,000円
破傷風トキソイド 3,000円
狂犬病 14,500円

インフルエンザワクチン

インフルエンザウイルス検査は、発症して12時間程度経過し、ウイルスの数が増えた後に検査するのが最適だといわれています。インフルエンザ発症12時間以内の場合、体内のインフルエンザウイルスの数が多くないため、正しく判断することが難しい場合があるためです。インフルエンザウイルス検査で陰性と判定されてしまっても、症状や流行状況からインフルエンザにかかっている可能性が高いと医師が判断した場合は、ウイルスがある程度増えるとされている発症翌日に、再度検査をしなくてはならないことがあります。この様な現状に対し、インフルエンザウイルスの数が少ない時点で検出できる検査技術が出てきました。当院が採用している富士フィルムの高感度インフルエンザ検出装置では、銀の微粒子でインフルエンザウイルスをより目立たせる技術が用いられています。これは富士フィルムが持つ写真の現像技術を応用したものです。鼻の奥を綿棒で拭い、10~15分ほどで結果が出ます。

当院のインフルエンザの検査

当院ではインフルエンザの検出キットとして、富士フィルムの富士ドライケム IMMUNO AGを採用し検査を行っています。

高感度インフルエンザ検出装置
富士フィルムの富士ドライケム IMMUNO AG の特徴
  • インフルエンザウイルスの数が少なくても検出できる
  • インフルエンザ発症初期でもウイルスを検出しやすい
関連リンク

インフルエンザの治療が遅れたり感染を蔓延させないためにも、迅速で正確な診断が重要となります。インフルエンザ感染の疑いがある場合には当院での検査をおすすめします。

予防投与とワクチン

インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの感染性を失わせたものを原材料に作られる不活化ワクチンです。体内で感染性をなくしたウイルスと免疫反応を起こさせることで、インフルエンザウイルスに対する免疫を獲得することができるという仕組みです。

インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から体の中に入ってきます。体内に入ったウイルスは細胞に侵入して増殖します。この状態を「感染」といいます。ワクチンはこの感染を完全に抑えることはできません。ウイルスが増殖すると、数日の潜伏期間を経て、発熱や喉の痛みといったインフルエンザの症状が出現します。この状態を「発病」もしくは「発症」といいます。インフルエンザワクチンには、この「発病・発症」を抑える効果が認められています。また、インフルエンザでは肺炎や脳症等の重い合併症が現れ入院治療を必要としたり死亡される方もいます。インフルエンザワクチンには、こうした「重症化」を予防する効果も認められています。
インフルエンザワクチンを打つことで、健康な65歳以下の方のインフルエンザの発病を70〜90%減少させることができたというデータや、65歳以上の健康な高齢者がインフルエンザにかかり重症化して入院する割合を30〜70%減少させたというデータ、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者について34~55%の発病を阻止し82%の死亡を阻止する効果があったというデータなどがあります。

インフルエンザは例年12月から3月ごろに流行し、1月から2月に流行のピークを迎えます。ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、どんなに遅くとも12月中旬までにはワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した2週間後から5か月程度までと考えられています。
5ヶ月程度で免疫がなくなってしまうため、昨シーズンにインフルエンザワクチンを打った方も、今シーズンには改めてワクチンを接種する必要があります。

インフルエンザワクチンの接種量および回数は次の通りです
  1. 6か月以上3歳未満の方:1回0.25mlを2回接種
  2. 3歳以上13歳未満の方 :1回0.5mlを2回接種
  3. 13歳以上の方     :1回0.5mlを1回接種

インフルエンザワクチンは、シーズンごとに流行すると予測されるウイルスを用いて製造されます。日本で流通しているインフルエンザワクチンは4価ワクチンといって、インフルエンザウイルスA型(H1N1株とH3N2株の2種類)とB型(山形系統株とビクトリア系統株の2種類)のそれぞれを培養して製造されています。

インフルエンザワクチンは37度以上の発熱が見られる方は打つことができません。ほかにも重篤な急性疾患ににかかっていることが明らかな人や、過去にインフルエンザワクチンを接種してアレルギー症状を発症したことのある方なども接種できません。インフルエンザワクチンは鶏卵を使って培養していくため、卵アレルギーの方はインフルエンザワクチンを打つことができないことがありますが、アナフィラキシーショックを起こすほどの重度のアレルギーでなければ、医師と相談の上、接種する場合もあります。卵でアナフィラキシーショックを起こしたことがあり、原材料に卵が含まれる食品を避けているといった方は、インフルエンザワクチンの接種を受けることができないケースが多いです。この場合、感染者と濃厚接触をしたら、タミフルやイナビルなどの抗インフルエンザ薬を予防的に投与するという方法が行われることがあります。

インフルエンザ感染予防を目的とした抗インフルエンザ薬の予防投与は自費診療となります。そのため診察とお薬の料金を合わせると、1万円前後のご用意が必要になることが多いです。お薬の添付文書上における予防投与は、原則として「インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族又は共同生活者である下記の者を対象とする」こととなっています。
1高齢者(65歳以上)
2慢性呼吸器疾患又は慢性心疾患患者
3代謝性疾患患者(糖尿病等)
4腎機能障害患者
入学試験など人生の重要なイベントを控えた方で予防投与を希望される方もいらっしゃいますが、添付文書上にない対象者への予防投与については、大きな副作用が出た場合、厚生労働省の「医薬品副作用被害救済制度」の対象外になる可能性があります。

インフルエンザ Q&A

インフルエンザと普通の風邪はどう違うのですか?

風邪は様々なウイルスの感染によって起こります。普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻水、咳などの症状が中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはまれです。 一方、インフルエンザはインフルエンザウイルスの感染で起こる病気です。38℃の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などの全身症状が突然現れます。あわせて風邪と同様に、のどの痛み、鼻水、咳などの症状も見られます。お子様、高齢の方、免疫力の低下している方では、急性脳症や肺炎を伴うなど重症になることがあります。

季節性インフルエンザと新型インフルエンザは、どう違うのですか?

A型のインフルエンザは、その原因となるインフルエンザウイルスの抗原性が小さく変化しながら毎年流行します。これが季節性インフルエンザです。
時として、この抗原性が大きく異なるインフルエンザウイルスが現れることがあります。多くの人が免疫を獲得していないことから、急速に蔓延します。そのため、場合によっては社会機能や経済活動にまで影響を及ぼすことがあります。これが新型インフルエンザです。
新型インフルエンザも、世界に流行し多くの人が免疫を獲得するにしたがって、季節的な流行を繰り返すようになります。例えば、平成21年に発生したH1N1というタイプの新型インフルエンザも、平成23年からは季節性インフルエンザとして取り扱われています。

鳥インフルエンザ(H7N9)について教えて下さい。

鳥インフルエンザ(H7N9)は、平成25年から27年にかけて、多くの感染者を出しました。その多くは中国本土からの報告ですが、香港や台湾からの報告も認めます。
持続的な人から人への感染は確認されていませんが、限定的な人から人への感染が疑われたことはあり、今後も引き続き注意が必要です。

インフルエンザにかからないためには、どうすれば良いですか?

  1. 流行前のワクチン接種
    インフルエンザワクチンは、感染後に発病する可能性を下げる効果と、インフルエンザにかかった場合の重症化を防止する効果があります。
  2. インフルエンザの主な感染経路は、咳やくしゃみの際に発生する小さな水滴(飛沫)による飛沫感染です。したがって、飛沫をあびないようにすることが大切です。

しかし、家族や友人など親しい関係にあって、日常的に一緒にいる機会が多い者同士での飛沫感染を防ぐことは難しいのが現状です。また、感染者であっても全く症状のない人やインフルエンザとは思えないくらい軽症の人もいます。

具体的な対策として、

  • マスクの着用
    ある程度の飛沫を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)マスクが良いとされています。不織布とは「織っていない布」という意味で、繊維を熱や化学的作用によって接着させて布にしたものです。粒子の捕集性や通気性に優れています。
  • 流水・石鹸による手洗い、アルコール製剤による手指衛生
    手洗いはインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法です。また、インフルエンザの場合、アルコールによる消毒でも効果があります。
  • 適度な湿度の保持
    空気が乾燥すると気道粘膜の防御機能が低下して、インフルエンザにかかりやすくなります。室内では加湿器の使用が効果的です。
  • 充分な休養とバランスのとれた食事
  • 人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザワクチンの接種は、いつごろ受けるのが良いですか?

インフルエンザは例年12月から3月ごろに流行し、1月から2月に流行のピークを迎えます。ワクチン接種による効果が出現するまでに2週間程度を要することから、遅くとも毎年12月中旬までにワクチン接種を終えることが望ましいと考えられます。ちなみに、ワクチンの予防効果が期待できるのは、接種した2週間後から5か月程度までと考えられています。

ワクチンの接種量および回数は年令によって違いがありますか?

インフルエンザワクチンの接種量および回数は次の通りです。

  1. 6か月以上3歳未満の方:1回0.25mlを2回接種
  2. 3歳以上13歳未満の方 :1回0.5mlを2回接種
  3. 13歳以上の方     :1回0.5mlを1回接種

インフルエンザの治療薬には、どのようなものがありますか?

インフルエンザの治療薬には、内服薬、吸入薬、点滴薬があります。

  • 内服薬:タミフル、シンメトレル
  • 吸入薬:リレンザ、イナビル
  • 点滴薬:ラピアクタ

以前、タミフル服用後に異常行動による転落死が起きているなどの報道がありましたが本当ですか?
現在に至るまでタミフルと異常行動との因果関係を明確に示す証拠は得られていません。また、タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴って起こる場合があることが明確となっています。
しかし、タミフル服用後に患者さんが転落死した事例報告を受けて、予防的な対策として薬の添付文書が改訂されました。それによると10歳以上の未成年に対しては、原則としてタミフルの使用を差し控えることとなっています。また、小児、未成年者がタミフルを使用する場合は、少なくとも2日間、一人にならないよう配慮することとなっています。
タミフル以外のインフルエンザ薬の使用後にも異常行動の発生が認められています。

肺炎球菌ワクチン

肺炎の主な症状は発熱、咳、痰などで、風邪とよく似ています。しかし両者は全く異なる病気であり、感染部位も異なります。風邪が主に喉や鼻に微生物が感染するのに対し、日常でかかる肺炎は主に肺の中(肺胞)の感染症であり、炎症により息苦しさを感じたりすることもあります。免疫力が下がっていると感染を起こしやすくなるため、基礎疾患がある方や高齢者では、肺炎のリスクが高く、しかも治りにくい傾向があります。加えて、高齢者では発熱や咳などの症状が乏しく、肺炎と気付かないうちに重症化してしまうことがあります。
肺炎による死亡者のほとんど(約98%)は65歳以上と言われています。

肺炎球菌は成人が日常でかかる肺炎の原因菌として最も多いと言われています。その割合は約20%程度とする報告があります。肺炎球菌ワクチンの接種を受けることで、肺炎のリスクを下げ、かかった場合でも重症化を防ぐ効果を期待できます。
また、インフルエンザウイルスに感染すると気道の表面の細胞が壊され、肺炎球菌などの細菌が侵入しやすくなるため、肺炎を併発するケースがあります。そのため、インフルエンザと肺炎球菌の両方の予防接種を受けておくことがより有効です。

なお、肺炎球菌ワクチンの有効期間は5年程度とされているため、いつ接種を受けたか忘れないようにしましょう。できれば同じクリニックで接種すると、タイミングを間違えずにすみます。当院では、肺炎球菌ワクチンを接種した年月日を記録したカードをお渡ししています。

副反応

注射部位の痛みや腫れ、2日程度の微熱といった副反応が出ることがあります。時間経過によってこうした副反応は自然に消えていきます。重篤な副作用が現れるのは極めてまれとされています。

接種に関する注意

肺炎球菌ワクチンの接種は高齢者が対象の予防接種です。
対象になるのは原則的に65歳以上の方になります。60歳から65歳未満の場合、心臓・腎臓・呼吸器の機能の障害やヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能の障害で、身体障害者手帳1級をお持ちの方に限られます。
肺炎球菌ワクチン接種は一部費用が公費負担される定期接種となっています。大田区の場合、過去に肺炎球菌の予防接種を受けたことのない65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳の方が対象となります。詳細はお住まいの市区町村公式ホームページでご確認ください。

なお、肺炎球菌ワクチンの接種後、5年以内に再接種(2回目接種)をすると、注射部位の痛み・腫れ・赤みが強く出る可能性があるとされています。再接種は5年以上の間隔をあける必要があります。また、再接種は定期接種の対象となりません。

風疹予防接種・抗体検査

風疹とは

風疹は風疹ウイルスに感染して発症する急性の発疹性感染症です。感染すると2~3週間後に発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が出現します。子供では比較的軽症となることが多いのですが、2000~5000人に1人の割合で脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症が起こることがあります。大人がかかると発熱や発疹の期間が子供より長くなる傾向があり、関節痛もひどいことが多いとされます。風疹には、1人の患者さんから5~7人にうつる強い感染力があり、飛沫によってヒトからヒトに伝播します。

妊婦さんにうつさないために

妊婦さん風疹に対する免疫が不充分な妊婦さんが妊娠初期(妊娠20週ごろまで)に風疹に感染すると、難聴・白内障・先天性心疾患などを持つ先天性風疹症候群の赤ちゃんが産まれる可能性があります。日本でも毎年、先天性風疹症候群の患者さんの報告がなされています。そのため、妊娠の予定がある女性、またはその家族で風疹の抗体を持っていない場合には、予防接種を受けることが重要です。また、社会的にも免疫を持つ人が増えれば妊娠している方が風疹にかかる可能性を減らせます。すでに妊娠している方は風疹の予防接種を受けることができないため、他のできるだけ多くの方が風疹の予防接種を受けて集団免疫を作ることが重要なのです。

なお、大田区では、助成対象者となる方が無料で抗体検査・予防接種が受けられるようになっています。詳細は下記のサイトをご確認ください。

感染しやすい20~40代の男性

風疹は感染しても症状がほとんどないケースがあるため、風疹ワクチンの接種を受けたことがない方が無意識に感染を拡げることがあると考えられています。また、風疹ワクチンは1回の接種しか受けたことがないと免疫が充分に強化されないため、年を重ねるうちに免疫が弱くなって感染しやすくなります。未接種、あるいは1回の接種しか受けていない20~40代の男性が風疹に感染しやすい傾向が指摘されています。抗体検査・予防接種が必要な世代などをご紹介します。

昭和54年4月1日以前に生まれた男性

1回もワクチン接種を受ける機会がなかったと考えられます。風疹は感染しても症状がほとんどないケースがあるため、無意識に感染を拡げてしまうことがあります。抗体検査を受けて、抗体価が低い場合には予防接種を受けましょう。

昭和37年度から平成元年度に生まれた女性、昭和54年度から平成元年度に生まれた男性

1回しか風疹ワクチンの接種を受けていないため、免疫が強化されていません。年月と共に免疫が弱くなり、感染しやすい状態になります。抗体検査を受けて、抗体価が低い場合には予防接種を受けましょう。

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