コラム

2020.11.16

<高血圧の生活指導> 減塩とDASH食のお話

塩分が血圧と関連することは広く知られている事実です。
心血管疾患の発生率が、生活習慣の改善によってどのくらい減少するかについて検討した研究で、食塩の摂取量を1日3g減らすと、血圧を下げるお薬に匹敵する効果があることが示されています。

これまで食品の栄養成分の表示は、塩分が「ナトリウム量」で表示されているものが多くありましたが、2020年からは「食塩相当量」に換算して表示することが義務化されました(ナトリウム1000mgが塩分2.54gに相当します)。お買い物をするときは食材のパッケージの裏側に書いてある表示を確認して、1日3gの減塩を目指しましょう。

一方で、厳し過ぎる塩分制限はそれほど効果が無いとする研究結果がありますので、他の食事との組み合わせで効率よく血圧を下げることが必要です。その際に参考にしていただきたいのが、DASH食と呼ばれる食事です。これはDietary Approaches to Stop Hypertensionの頭文字を取ったもので、血圧を下げる効果があるとされています。食物繊維やカリウムを多く含む野菜や果物の摂取を増やし、オリーブオイル・魚・ナッツに多く含まれる不飽和脂肪酸を摂取しつつ、お菓子やケーキに含まれる飽和脂肪酸を減らした食事法です。

野菜が食事のお盆の半分以上を占めるようにし、ドレッシングやマヨネーズは使わずオリーブオイルで代用、おやつのポテトチップスを果物や無塩ナッツに置き換えるなどの工夫で、無理なくDASH食に近い食事を達成できます。オリーブオイルは野菜に直接かけるのではなく、小皿にたらして付けながら食べるのが良いでしょう。

*野菜や果物はカリウムを多く含むため、腎機能が低下している人では制限が必要な場合があります。また、ワルファリンという血液を固まりにくくするお薬を内服している人は、野菜や果物の大量摂取によりお薬の効果が減弱することがあります。かかりつけ医の先生とよく相談しましょう。