コラム

2025.11.01

高血圧と飲酒 ~アルコール摂取量の目安~

アルコールを1回だけ飲んだという場合に、一時的に血圧が下がることはよく経験されます。しかし、飲酒を習慣的に長期間つづけると、血圧は上昇に転じます。高血圧の管理における1日の飲酒量の目安は、男性でビール500ml(中瓶1本)以下、日本酒1合以下、焼酎0.5合以下、ワイン2杯以下です。女性の場合は、この半分を目安としてください。

また、脳出血のような出血性の脳卒中は、飲酒量に伴って直線的に増加することが分かっています。さらに、大量の飲酒は食道がんなどの癌のリスクを高めたり、心房細動などの不整脈のリスクを高めたりするので、注意が必要です。

・年齢と飲酒
高齢者は、体内の水分量の減少などにより、同じ量のアルコールでも酔いやすく、飲酒による転倒や骨折の危険性が高くなります。10~20 歳代の若年者は、脳の発達の途中であり、大量の飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあります。
・性別と飲酒
女性は男性に比べて体内の水分量が少なく、分解できるアルコールの量も少ないことに加え、エストロゲンの働きによりアルコールの影響を受けやすいことが知られています。そのため、女性は男性よりも少ない量かつ短い期間でアルコール性肝硬変になることがあります。
・体質と飲酒
アルコールを分解する酵素の働きは、個人によって異なります。分解酵素の働きが弱い場合には、飲酒により顔が赤くなったり、動悸や吐き気がしたりします。そのような人が飲酒を長年継続すると、食道がんなどのリスクが非常に高くなるというデータがあります。