コラム

2022.10.14

帯状疱疹と予防ワクチンについて

帯状疱疹は水ぼうそうのウイルスが原因で起きる

帯状疱疹は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが引き起こす病気です。実は、水ぼうそうが治った後も、ウイルスは体の中に残っているのです。日本人の成人の90%以上で、このウイルスが体内に潜伏していると言われています。年月が経って水ぼうそうのウイルスに対する免疫力が低下した際に、再び神経を伝わって出てきたのが帯状疱疹です。80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するというデータがあります。
年をとってからワクチンを接種して再び免疫が活性化すると、帯状疱疹になりにくくなります。そのため、ワクチンが認可されてから帯状疱疹は予防できる病気になりました。

帯状疱疹の症状の特徴は痛みと水ぶくれ

帯状疱疹の主な症状は、体の左右どちらかに生じる痛みやかゆみを伴う発疹です。「ピリピリ」「ジンジン」「チクチク」「ズキズキ」などと表現される痛み方で、痛みが発疹より先に出ることがあります。発疹が出る場所は決まっておらず、全身のどこにでも出ます(最も多いのは上肢~胸背部で約30%)。発疹は小さな水ぶくれとなって次第に数が増えますが、初期には湿布かぶれや虫刺されと区別しづらいことがあります。水ぶくれは、その後かさぶたとなり、3週間前後で治りますが、色素沈着や傷跡が残る場合があります。

帯状疱疹の合併症(帯状疱疹後神経痛など)

皮膚の発疹が治ったあとも痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」が知られています。帯状疱疹後神経痛では「焼けるような」「刺すような」「電気が走るような」痛みが長期間に渡って持続します。また、服が触れるなどの軽い接触だけでも痛みが起きる「アロディニア」と呼ばれる痛みもあり、「痛くて顔が洗えない」など日常生活に支障をきたしたり、睡眠の妨げになることがあります。
その他、顔面に帯状疱疹が出た場合には、視力低下や失明などの眼の合併症や、めまい・耳鳴り・難聴といった耳の合併症を起こしたり、顔面神経麻痺を生じることもあります。

帯状疱疹の予防ワクチンは2種類ある

50歳以上の方には、帯状疱疹に対するワクチンの予防接種が認可されています。現在、帯状疱疹ワクチンには2種類あります。「乾燥弱毒生水痘ワクチン」は1987年に水ぼうそうワクチンとして認可され、2016年に帯状疱疹にも適用が拡大されました。「シングリックス」は2020年に帯状疱疹専用のワクチンとして認可されたものです。それぞれに長所、短所がありますので、比較表を参考にしてください。

乾燥弱毒生水痘ワクチン シングリックス
発症抑制効果 50%くらい 50歳以上:97%くらい
70歳以上:90%くらい
接種方法 皮下注射 筋肉注射
接種回数 1回 2回(2か月間あける)
費用(当院の場合) 6,000円 22,000円×2回(合計44000円)
副反応 接種部位の痛み、発赤、腫脹などで、比較的軽い副反応の可能性 接種部位の症状に加え、筋肉痛、倦怠感、頭痛など比較的重い副反応の可能性
長所・短所 長所:接種回数が1回で済み、費用も安い。
短所:効果が落ちる。
長所:効果が高く、長く続く。高齢者にも有効。
短所:費用が高く、接種回数が2回。副反応が強い。

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