免疫力と腸内細菌

2020.10.18

免疫力と腸内細菌 ~プロバイオティクス・プレバイオティクス・バイオジェニックス~

人の免疫細胞の7割は腸に集中していると言われます。口から肛門までは、1本の長い消化管としてつながっており、消化管は体内にありながら体外と直結しています。水分や栄養を摂取する一方で、病原体も運び込まれるため、それらを撃退する免疫機能が腸に集中していることは当然のことかもしれません。腸の中にある様々な細胞の働きによって病原体が退治されているわけですが、これらの免疫細胞と深く関わっているのが腸内細菌です。たとえば乳酸菌が増えると免疫力が増強されることはよく知られています。乳酸菌の細胞壁には免疫増強因子があって、それが腸のリンパ球を刺激していることが分かっています。このように「腸内フローラのバランスを改善することによって人に好影響を与える生きた微生物」のことを「プロバイオティクス」と呼びます。プロバイオティクスは以下のような条件を満たすことが必要です。

 

プロバイオティクスの条件

  1. 安全性が保証されている
  2. もともと腸内フローラの一員である
  3. 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
  4. 下部消化管で増殖可能である
  5. 体に対して明らかな有用効果を発揮できる
  6. 食品などの形態で有効な菌数が維持できる
  7. 安価かつ容易に取り扱える

 

プロバイオティクスの持つ有益な効果として、便秘・下痢の改善効果、乳糖不耐症の改善効果、免疫機能改善による感染防御・アレルギー抑制効果、動脈硬化の予防効果、抗腫瘍作用などが報告されています。

免疫力を高めるには、腸内細菌の種類(多様性)と数を増やすことが有効です。そのためには乳酸菌飲料やヨーグルトなどで善玉菌を摂取するとともに、腸内細菌の餌となるオリゴ糖などを摂取することも重要です。一部の食物繊維やオリゴ糖のような、「腸内細菌の増殖・活性を変化させることにより体に好影響を与えて健康を改善する難消化性の食品成分」を「プレバイオティクス」と呼びます。

プロバイオティクスとプレバイオティクスを並行して摂取することが免疫力の増強に有益であることは以前から言われていましたが、近年、これらに加えて「バイオジェニックス」というもう1つの考え方が登場しています。バイオジェニックスは、腸内フローラを介さず体に直接働きかける乳酸菌の生産物質などを指します。死んだ菌も含めて乳酸菌の作り出す物質(代謝産物と菌体成分)が、腸内の免疫機能を刺激することで体全体の機能活性を促し、腸内フローラにも良い影響を与えるというメカニズムです。

当院では、バイオジェニックスとして、乳酸菌生成エキスである「アルベックス®」という製品を取り扱っています。医薬品ではありませんが医療機関専売品であり、砂糖・香料・保存料不使用で100%植物原料のメディカルサプリメントです(健康食品のため保険の適用は受けられません)。このエキスには、生きた乳酸菌ではなく、乳酸菌の分泌物(乳酸菌が作り出した物質)と菌体成分(乳酸菌の細胞物質)が含まれています。

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ところで、冒頭で免疫細胞の7割が腸に集中していると書きました。免疫力の7割が腸だとすると、残りの3割は何でしょうか。それは自律神経系の働きです。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は全身の活動力を高める神経で、主に日中に優位になります。逆に副交感神経は夜間、リラックスしているときに優位に働きます。神経系が免疫系に対して制御作用を持つことは以前から指摘されており、慢性的なストレスで交感神経系の活動性の高い状態が持続した場合、リンパ球の働きが低下することが報告されています。日常体験としても「テストの前に限って風邪を引く」「寝不足が続いたら風邪をひいた」などの経験は誰しもあるでしょう。これらはストレスで交感神経の緊張が続いた結果、免疫力が低下したことによるのかもしれません。 

プロバイオティクス・プレバイオティクス・バイオジェニックスに加えて、良質な睡眠をとり、よく笑い、体を温め、リラックスできる時間を作るなどして自律神経を整え、免疫力を増強してインフルエンザや新型コロナウイルスへの備えとしたいものです。